ベジタリアン マジシャン
フハハハハ
吾輩はベジタリアン・マジシャン!!
おやさいだいすきなマジシャンだ!
きょうも
スピリット全開でパワフルマッスルだ!
そんなふうに
いつもの決め台詞をいいながら
吾輩は町に繰り出していた
吾輩の日課とするは町のパトロール
家の塀でいねむりする猫に挨拶し
送電塔を見上げているランドセル少女に挨拶し
曲がり角で少女漫画のような出会いを夢見る思春期少年に敬礼し
駄菓子屋のおばちゃんにひざ掛けを渡し
パトロール
パトロール
吾輩は今日も町を廻る
民家の軒先で
うずくまっている怪人をみつけた
フハハハハ!
怪人 そんなところにいては
このベジタリアン マジシャンに成敗されるぞ!!
うずくまっている怪人は
もぞもぞと軒先からでてきた
うんゆ~~
寝すぎてフラフラするゆ~~
へんな語調の怪人は
あろうことか吾輩のまえに
姿をあらわし
トコトコ歩み寄ってきた
フハハハ!
みずから成敗されにくるとは
その潔さは素晴らしい!
うんゆ?成敗?
そうだ!
なんで?
キサマは怪人だろう!!
このベジタリアン マジシャンが成敗してやる!!
いやだぁゅ・・・
ぐぬっ。
怪人があまりにも
その・・・
素な感じで
いやだと言ってきたので
なぜかこう調子がでずに
軒先で
缶コーヒーをすすってるなう